経緯目的 Motive :
#02 と同様に #01 の精度確認を簡易恒温槽により行ったところ誤差が大きく,Slip21 による補正を試してみた。
I have evaluated temperature accuracy of wireless sensor using Slip21 correction functionx.
簡易恒温槽による温度誤差のチャートを Chart.1 に示す。
本体内蔵の温度センサ 01Arの誤差が外付け温度センサに比べると極端に大きい。内蔵温度センサの取り付け位置は #02 を 90° 回転させた位置関係にある。内蔵電池は #02 の SUM3 と異なり SUM2 であり,その分熱容量は大きいが, 無視できるのではないかと思う。
測定誤差試験の結果,01Ar と 01Lq の hAr との平均誤差は -2.6°C と -0.5°C であった。Slip21 の温度補正機能を使用して 01Ar のオフセット 500 を 480 に設定して測定を再開した。補正前の測定結果も含めて Chart.2 に示す。
Photo.2 に保冷剤とアルミ缶熱源がない静置状態を示す。
Photo.7 に #02 を併置する前の状態の #01 の様子だ。当初,補正済みの #02 を参照する程度を考えていた。外付け温度センサの 直上に繁茂している草を刈り,に示すように2個の外付け温度センサを同じ場所に設置した温度測定結果が Chart.3 だった。
確かに外付け温度センサ 01Lq と 02Lq は一致しているが,本体内蔵の 01Ar と 02Ar の乖離が甚だしいので #01 の恒温槽温度テスト を始めた次第だ。8日零時に大気の状態に違いがあるかもしれないと思い,念のために本体の位置を交換してみたが当然ながら何ら変化がない。
Photo.8 に笠の遮光を強化した #02 と #01 を併置した様子を示す。
01Ar の温度補正を施した #01 と #02 の同一場所でのフィールドでの温度測定結果が Chart.3 だ。夜間の 01Ar と 02Ar は 一致している。当該フィールド場所は東側に面しており,朝日を浴びる。本体内蔵の両者の温度上昇特性が大きく異なる。これは 遮光用笠の違いによるものだろう。
窓からの外光が射さない場所に恒温箱を置き,HDC1000および供試体の温度差の減少を確認後,箱内に静置する。箱内は極端に対流が 起きない結果が得られている。市販の恒温槽が巨大なファンを装備しているのも頷ける。若い頃,先輩技術者について仕事を学んだ。その時, 恒温槽のファンを回すなと教わった。半導体の温度特性を調べるためだった。先輩は経験上,測定のバラツキを考えたりして望ましくないと 判断していたのであろうか。恒温槽内の温度勾配など考えなくても良い程度の実験だったのか。単に当時の温度測定は今から考えると,ラフ であった。例えば 50°C といっても,数度の誤差は当たり前の時代だった。
遮光用の笠を強化すると,温度上昇の違いがあるようだ。朝日を浴びての急激な温度上昇は太陽の輻射熱のためだろう。日除けの笠を2 重にするだけで遮光対策として効果があると考えていいだろう[1]。ヒトの体感温度を計っても農用として余り意味がないだろう。空気の断熱係数は大きい。
簡易恒温槽内に3台のワイヤレス温度センサを入れての温度出力結果より器差が少ないと判断していたが,装置の積み重ね順番と恒温槽内の 温度勾配が逆にたまたま良い結果をもたらしたのかもしれない。1°C 以下の精度を望むなら,恒温槽の攪拌と基準温度センサとの接触が不可欠だろうと思う。
日本の昔の蔵は土壁で夏は涼しく,冬の寒気は和らいだ。その一方,ヒトの住む住宅は夏暑く,冬寒いのは当たり前だった。住宅様式が 大陸風ではなく南洋由来だったからだっただろう。納屋小屋もトタン板とかスレートが多い。厩舎はどうなのだろう。児童が学ぶ学舎はどうだろう。 地震が多い風土なので建物に投資しないのは当たり前なのだろうか。蔵の知恵を文化に高め得なかったのは不思議だ。
半導体温度センサの精度を簡単な補正法により,精度が大きく改善する事がわかった。先輩の話によると昔は温度試験をして半導体のスクリーニングをしていたらしい。 日立東芝とかは民生部門があり産業用に適さない半導体は民生に回すと言っていた。しかしその民生分野の電子部品の性能が向上して,いかに民生部品を 産業用に適用できるかが設計技術の妙になった。農用も安価な民生品を使うべきだろう。栽培ハウスとか農機がべらぼうに高価なのは何故だろう。
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