Motive 目的:
NiCd batteries were unable to use less month in Jan 2013. I have tested NiCd and Mn batteries for longer running term, using improved devices.
2013 年1月には NiCd は1箇月未満の寿命だった。装置を改良して,NiCd とMn電池を用いてより長期間の連続運転を目指した。

XBee: Mn電池を用いた長期運転結果 2015-05-09

経緯

一昨年前の冬季(2013年1月)の XBee を用いた温度センサの連続屋外通電試験における NiCd 電池寿命は1箇月未満であった。 外付け温度センサ回路の消費電力を見直し,昨年1月の試験では,2箇月近くの寿命が得られた。 「電池の片減り消耗」の現象が見出され,電池寿命に影響を 及ぼしていると考えられた。今冬季(2015年1月)では,DMM では測れないような微小パルス幅電流計(アンプ+DSO)を製作して動作 電流を観察しながら,電池寿命を延伸するために XBee のチューニングを行った。私のブログ nabezoco にそれらの記事を掲載した。 「XBee 駆動用電池の選択」では,事前に検討した結果を記した

NiCd 電池劣化可能性

NiCdLife
Fig.1 NiCd Batteries Discharge Characteristics

今期連続試験の結果,しかしながら,意外と1箇月に満たない寿命期間となった。私のアプリ Slip21 は XBee + Slip21 により,駆動電池の電圧の測定および記録が可能だ。その測定結果をFig.1 に示す。チャートは OpenOffice Calc を使用して作成している。 Calc のオブジェクトをブラウザが認識できる画像ファイルに変換すると,プロット線にディザ(ギザギザ)が発生して表示画像の劣化が起きる。 ブログでも指摘した。Calc の画像ではX軸の値として日付が表示されるのだが,変換すると,無意味な整数値に化けてしまう。 しかし私のようにネットに公開でもしない限り,メモとかレポートを OpenOffice のみを使用して作成する分には何ら問題がない。 何より,フリーソフトなのはありがたい。

片減りを起こした電池を除き,残った電池を選別して充電しての結果だ。使用している電池は使用回数は少ないものの,電極に腐食が散見されるほど購入時期が古い。 そして,長期間放置していたので自己放電のため電池容量が空になっていた。過去に直列接続のまま,充電したため過充電を経験している。 そして,XBee 用途では電池の片減りによる過放電もある。購入した電池に添付されていた秋月の資料によれば,「ラジコン・工具等の実使用に近いハイレートパルス放電使用においても充放電500回以上の長寿命が期待できます」 とあるが,実際のところどうなんだろう。

昔,Sharp のコードレス電話機に NiCd 電池が使用されていて,待機時には充電される筈なのだが,使用温度環境も氷点下の 屋外に比べたらはるかにましなのに数年経ると,電池容量は大きく低下した。また,NEC のラップトップPCの 98LV は毎日,PCを 使用しないにも関わらず,半年ほどで電池寿命が短くなって商用電源なしでは使用に耐えなくなってしまった経験がある。大手電気 メーカの充放電回路がいい加減なのか,それとも電池メーカの寿命実験が現実とは全くかけ離れた理想的使用条件なのだろうか。

ネットで検索しても,サイクル試験をやった報告がない。趣味でやるには手間と時間がかかり過ぎるからだろう。多分,車の バッテリのように充電しながら,使用するのが適切なのだろう。ボーイングは充電池を採用して,補機 APU を大幅に小型化したけど, 海自の潜水艦は高性能電池の採用にまだ至っていない。私のような実験でも,劣化と実証するには電池を破壊して,電子顕微鏡を 用いた組織観察をしないと,立証に至らないかもしれない。

NiCd は自己放電を放置すると,電池の寿命は著しく短くなるのかもしれない。実際のところは,比較テストしてみないとわからない。 そんなデータはない。


Mn 電池の寿命実測結果

MnLife
Fig.2 Mn Batteries Discharge Characteristics
Fig.1 の電池 2BT は完全放電に至った 1BT の電池交換の際,使用を取り止めた。2台の機器に使用する電池をMn電池に統一して, 比較するため同時に交換した。前回と同じ設置条件の下で連続通電試験を行った結果を Fig.2 に示す。

3BT は 2BT が 1.8V で伝送しなくなってから,2週間の間,信号を送り続けた。2BT は 4/22 15:58 に電池電圧 1.82V を送信した。 その後,5/2 01:31 に Slip21 はゼロボルトを記録している。この間に,2BT は失活したのだろう。当時は,プログラムを作成 したりして Slip21 にその間の測定記録が残っていない。今,思えば電池電極の接触不良だったのかもしれない。電池を2本直列 使用しているので電池単体は 0.9V 相当になる。電池容量が空になったのだろうと勝手に判断した。また,充電池が劣化すると生じる メモリー効果のせいかもしれない。ただ,急にメモリー効果が起きる可能性は低いだろう。

実際は,自作した1V以下の出力定電圧発生器を用いたテストだと 0.6V 位あれば動作する。DC-DC コンバータの公称入力電圧 下限は 0.7V である。また,1週間程,就寝時にPCの電源を落としてしまい,XBee Coordinator に通電がなされず,子機が孤児に なった結果,頻繁に親を求めるポーリングを繰り返したから,その分電池を余分に消費しているかもしれないし,測定結果を送信 しない分,電池を損耗しなかったかもしれない。電池の損耗を試験する際,Slip21 の動作を止めても,親機には通電しておく べきだった。


Mn電池の片減り

5/2 11:00 に電池ホルダーからMn電池を取り出し,電池単体の開放電圧を DMM により測定したところ,早くに損耗していた 2BT はともにゼロボルトだった。3BT の No.1 は 0.575V を示し,相方の No.2 がゼロボルトだった。直列接続の片方の電池が極端に 損耗するのは,NiCd だからとか,また電池の劣化とは関係がないようだ。使用したMn電池はダイソーブランド GP の新品で,同一 パックの電池を使用した。使用期限は 11-2017 である。

直列接続において,片方の電池の起電力が失われると,その電池は過放電だけでなく抵抗状態のまま通電される。実際,取り出し 直後の電圧は逆極性を示すから電池に過放電以上の悪い影響を与えるのかもしれない。一時電池なら,使い捨てなので起電力を 最後まで絞りきって使用しても何ら問題はないが,二次(充)電池だと,劣化の原因になりそうだ。その点,Slip21 は電池電圧を 測定するようにしたので,充電池の交換時期を逃す事はないだろう。

Mn電池と NiCd 電池の得失

Mn電池は NiCd 電池よりも長寿命である測定結果となった。新品と劣化電池の違い,さらに温度の影響も考えなければならない。 低温に強い NiCd でも周囲温度が -10℃ だと1箇月放置すると容量が90%に低下する。日中と夜間の温度差でもMn電池だと電圧が 変動してしまうが,NiCd だとそれほどの明瞭な増減の記憶がない。だが,NiCd は周囲温度 30℃において,自己放電が大きく1箇月 経過すると電池容量が 80% に低下する。Mn電池はそれほど自己放電は大きくないのかもしれない。3箇月の連続使用を目指すとなると, 栽培ハウスは零下での積極的運用は考えられないから,NiCd の自己放電特性が足かせになりそうだ。

少し遅れて,連続試験を開始した1号機 1BT には,単2 SUM2 の電池ホルダを取り付けた。というのは,電池交換頻度は少ない ほうがユーザフレンドリーだろう。1次電池には廃棄の問題もある。重金属と化学物質が含まれている。化学物質は分解されるに しても,重金属は大量の水でもない限り,野山に廃棄すると土壌が汚染されたままになる。自治体によっては,分別回収して リサイクル業者に渡しているようだ。我が市の場合,ゴミ収集場所に電池回収箱が常時,設置されている。

充電池の場合,電動工具と異なり電源の ON/OFF スイッチのない用途には過放電防止回路の設置が望ましいが,基板改造する スペースの確保がないし,Slip21 は電池電圧を監視するので改造するモチベーションが起きない。

Conclusion 結論

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