経緯目的 Motive :
居室は南西にあり緑のカーテンを期待した,西向き壁面に真夏のアサガオ鉢栽培を試みた。複合温度センサにより温度測定を行った。
I tried growing Asagao on the west window in mid summer. I have measured ambient temperature of air and the pod.
アサガオは小学校の理科教材に採用されるほど,なじみのある植物だが,私はその記憶がない。西向きの窓にスダレを設置しているものの,スダレから差込む夏の日差しは暑い。 アサガオの葉による遮光を目的として,アサガオの鉢栽培を試みた。
DIY の店で「葉面積が大きく,日よけ効果抜群!!」の宣伝プレートの付いたドイツ朝顔の苗 www.i-mson.com を入手した。7月18日にビニールポッドから苗を取り外すと,根が回り込んでいて若い苗ではなかった。 内寸 17cm の陶製鉢に移植した。鉢の下部に水の浸透を早めるために多孔質の礫を敷き,その上に腐葉土を重ね,苗の根を一切,処理せず置き,その周りを腐葉土で埋めた。
水遣りは当初,ネットにあるようにジョーロを用い朝晩の二回だったが,葉がしおれてしまい霧吹きに替えて水遣り回数を増やしたものの,事態が改善されなかったので保水を保つためにポッドの底に深さ3.5cm のスチロール製食器トレイを置いた。 それでも落葉が生じた。時刻も昼以降の葉に生気が感じられない暑熱時に3回散水した。
複合センサの取り付け状況を Fig.1 と Fig.2 に示す。本体の取り付け高さは微妙に変化している。最初,最高部にフックで掛けていた。ポッド内部のフックが大き過ぎて装置の下部が露出してしまった。 太陽の輻射熱と紫外線による劣化を考慮して,小さなフックに替えた。 また,アサガオの成長に伴い,ポッドとアサガオの手が接触して,アサガオの成長を阻害するおそれもあったので,ポッドを吊り下げる紐の長さをシャープペンの長さ 13cm 延長した。 現在の本体センサの高さ位置は 183cm である。アサガオの周囲を含めた全体の様子を Fig.3 に示す。乾燥している環境だと判るのではないかと思う。
Fig.4 に 7月20日より8月14日に至るまでのアサガオのツルの成長記録を示す。鉢の脇に立てた「手」に沿った高さをもってツルの長さとした。20日にツルまき方向を右ネジに変更した。測定道具は2mのスチール製巻尺である。 ツルの成長速度は最初は少し低めで,日毎一定速度で成長している。成長限界はどれ位なのであろうか。グラフの日付が文字化けしているのは,表計算ソフト OpenOffice Calc のオブジェクトを画像ファイルに変換する際,生ずるバグである。
Fig.5 は8月8日に落葉したアサガオの葉である。ツルの成長速度に水遣りはあまり影響がないようである。
ツルが伸びるものの葉の成長が大きさ数とも物足りない。連日葉がしおれるところをみると,高温すぎるか水不足なのであろう。40℃以上の気温下のハウス栽培が行われているようだから,水供給がネックなのだろう[1][3]。 サカタの説明によれば,プランタの容量は 35L を推奨している[2]。私の鉢の容量は高々2.7L だから,推奨の8%しかない。子供の頃,姉が栽培していたのは鉢ではなく,地植えだったのだろうか。しかも寒冷地の南向きだった。 一部のサイトには 18cm の鉢でOKともあるが,かなり制約のある条件下ではないか。小学校の教材であっても,知見がないとうまくいかない。私が子供の頃の姉のアサガオも父がネット張りとかしていたような気がする。
アサガオの設置場所と反対側の裏庭に設置してある別のワイヤレス複合センサとアサガオの温度とを比較してみた。測定日は8月9日である。
東向きにあるバックヤードに設置された01機の温度は早朝から,急上昇し高温の持続時間も西向きアサガオの測定器より長い。 その理由はアサガオの03機は背面が家屋の窓があり,さらに上面に ひさしもあり直射日光が差すのは夕刻近くになってからだからだ。 アサガオの温度カーブは,かん水方法について参考になるだろう。私の場合だと,朝夕の水遣りよりは夕刻直前の灼熱時が温度のピークカットに有効かもしれない。
バックヤード01機の内蔵温度センサと外付け温度センサの測定結果を比較すると,深夜に温度が逆転している。地面が乾燥し切っているので,蓄熱効果があるのかもしれない。
アサガオの栽培場所と反対向きのバックヤードに2台のワイヤレス複合センサを併設している。Fig.8 にその外付け地温センサの8月12日における設置状況を示す。右側が01機で,左側が02機だ。 両者の間隔は 0.3m だ。
Fig.7 に01および02機の8月9日における温度変化を示す。 01と02機の地温を比較すると,02機は午前中,急激に上昇している。時刻の表示が乱れているのは前出のバグのためである。0.6 が12時に相当する。01機の地温センサカバーが葉面に隠れているのに対し,カバーが露出していたためと思われる。
また,01と02機の気温を比較すると,未明では低かった01機の気温が01より高くなり,夕刻になるとまた逆転している。02機のシェードが樹脂製鉢なのに対し,01機は極薄のポリ袋であるため,遮熱効果が少なく本体温度の上昇が大きいのかもしれない。
01機のシェードを02機と同じような物に替えた方がいいだろう。
Fig.12に示すように,葉が密集していないけど,一応葉により日陰ができた。撮影日は8月22日だ。Fig.13に示すように花も咲いた(撮影日9月7日)。
天候が不順になると,葉が大きく成長する事がわかった。カンカン日照りの時は,光合成をするのに十分な光量があり,葉が成長する必要がない。葉の面積が大きいとそれだけ水分の蒸発量も増えるからだろう。
夏の緑のカーテンをするには,梅雨時にアサガオの葉を成長させるべきなのだろう。
そう考えると,小学生の夏休みの課題としては,西日本では北向きに栽培指導した方が,よさそうだ。 ベランダが西向きのマンションだと,酷暑でのアサガオ栽培は不向きかもしれない。
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