目的:
I made a constant voltage generator less than 1V before, but it cannot output large current 1A for a trial of discharger
circuit. So I rebuilt the device.
以前,製作した1V以下の定電圧発生器は大電流を取り出す事を考えずに製作した結果,乾電池用放電器の試験電源としては
能力不足となった。そこで,約1Aの大電流を流せるように改造した方法について記す。
保護抵抗のつもりでトランジスタのエミッタ側に抵抗を接続した結果,大電流を流そうにもエミッタの電位が上昇して,電源電圧 5Vの動作は不可能になっていた。大電流流すつもりの 2SD553 は放熱板の加工も済んでいるので,トランジスタのレイアウト変更は 避けたい。電流制限抵抗を移動するとなると,スタンバイ切換SWが邪魔になる。このSWの容量は 0.4VA しかないので取り外す 事にした。 手持ちの電力抵抗から 1Ω/2W があった。これを従来の3Ωに換えて,従来のエミッタ側からコレクタ側に仮半田付け した。負荷抵抗 1.5Ω と 3Ω の場合,2SD553 のコレクタ電圧Vc,エミッタ電圧Veおよび電流制限抵抗電圧Vrを測定した結果を Tbl.1 に示す。
Load | Ve | Vc | Vr | Vf |
3Ω | 2.6V | 4.68 | 0.442 | Yes |
1.5Ω | 2.42V | 4.40 | 0.627 | Yes |
1.5Ω | 2.5V | 4.00 | 0.984 | No |
電流制限抵抗の抵抗値は1Ωだから,電圧Vrが出力電流とみなして良い。Vfは逆流防止用ダイオードの有無を示す。使用した ダイオードはショットキーダイオードだから,順電圧が低い。実際に1Aを流そうとすると,ダイオードをバイパスする必要があった。 確か定格が1A以上ある品物なのだが,約1A流すと順電圧が 0.8V になり,発熱も大きい。ダイオードは本来,整流目的から 始まったので,定格とはデューティが交流もしくはピーク負荷なのであろう。
負荷抵抗を流れる電流Iを DMM PC510,多回転トリマによる設定電圧Vdを DMM P-16により測定して得られた Output characteristics in chart 出力特性をグラフ化して示す。設定電圧はトリマの回転角に比例する から,この図はトリマの回転角と出力電流が比例関係にある事を示す。つまり,フラストレーションなしに電流を流せる。
トランジスタ 2SC1815 + 2SD553 の組み合わせによるダーリントン効果を調べてみた。出力1A時,2SC1815 のベース電圧は 2.827V, ベース電流制限抵抗 220Ω の元圧は 2.822V であるから,殆どベース電流は流れていない。0.5A 出力でもベース電圧(元圧)は 2回測定して,1.964(1.958)V と 1.981(1.984)V になったから,1A時と同様,ベース電流はほぼゼロである。2SC1815 のベース電圧が 2.003V の時,エミッタ電圧は 1.386V であり,BE間電圧は 0.617Vであった。2SD553 のベース電圧はダーリントン接続なので 2SC1815 のエミッタ電圧と同じ。2SD553 のエミッタ電圧は 0.817V あったから,BE間電圧は 0.569V だ。結局,ダーリントン接続 する意味が薄れている。出力1A時の 2SD553 のコレクタ電圧およびエミッタ電圧は,3.896V と 1.634V であったから, コレクタ損失は 2.26W になっている。2SD553 単独でも1Aは流せるので,2SC1815 のBE電圧が加算される事によるコレクタ損失の 増加となってしまった。
ダーリントン接続によるBE間電圧の増大を低減するために,トランジスタの極性を変更する方法がある。大容量 FET のゲートに 蓄積された電荷を高速にゼロにする目的で極性の異なるトランジスタを並列に接続した事がある。見方を変えれば,これも ダーリントン接続かと納得した。これまで,制御回路電源とパワー素子電源が5Vと24Vと大きく異なる回路ばかりを手がけていた せいで不用意にエミッタに電流制限抵抗を接続するミスをした。1A流した時のコレクタ損失 2.26W は取り付けた放熱板の許容温度 上昇内に収まっているので,これ以上の改造を止めた。改造後の写真を示す。
参考
Biwa Lake JAPAN aboutMe
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