My old PCs

CRT ディスプレイ分解 CRT display disassemble

1999年以来,使用していた17インチモニタの垂直方向の同期が乱れる症状になり,使用に耐えなくなり,修理の可能性があるのか, どうか見極めるため分解してみました。その感想とかつて日本が世界を制覇したテレビへのオマージュです。マイブログ nabezoco にその経緯と結果について記しています。

I disassembled my old broken 17" CRT display. The CRT driver IC could apply for a big GW amplifier unit, I think.


Fig.1 はディスプレイ背面のラベルです。消費電力は 110W です。背面から4本のネジを緩めると,簡単にリアカバーが 外れます。Fig.2 はリアカバーを外した状態を後方から撮影しました。重量物を支える樹脂製台があります。

CRTlabel
Fig.1 Label
CRTassy
Fig.2 Assy backwards
CRTcase
Fig.3 Rear cover inside

前後カバーの合わせ面の精度はよくできています。射出成型金型が優秀なのでしょう。カン合設計も適切です。すみやかに 組立られるようガイドがあり,しかもそのガイドはモールドの歪みが生じないようなリブを兼ねて設計されています。樹脂製 チルト台上に板金のシャーシが組まれています。全体を覆っているのは EMI対策のためでしょう。上部は電磁遮蔽のためだから, 板厚は薄くても構わない筈です。にも関わらず板厚を統一してこの重量も支えて,設計するのは板金の板取,プレス工程を考えると, 合理的な設計です。

リアカバー上部内面が黒くなっている。この部分は金属シャーシがないので,熱劣化なのか,埃の類が炭化したのか不明です。 チルト台の底にも炭化物らしきものが堆積した事があるので,帯電した静電気がこのような現象を引き起こすのだろうか。


CRTchassis
Fig.4 Shield chassis
CRTband
Fig.5 Tube band
CRTharness
Fig.6 Driver harness

Fig.4 は底の側面にあるネジを緩めシールド用シャーシを取り外しました。CRT の首からバンドを取り外し, ドライバボードを引き抜きました。Fig.5 はそのバンドと分解に要した全てのネジです。ドライバボードとメイン基板との ハーネスを Fig.6 に示します。

シャーシ表面処理鋼板 t0.5。固定ネジ M3x6 6pc。カバー固定タッピングネジ M4x16 2pc,M4x45 2pc。ビデオボードの ハーネスのコネクタは,2Pが赤と白各 1pc,GND 用大きめの2Pが 1pc。6P,7P,8Pおよび 10P が各 1pc。

ビデオボードのシールド兼ヒートシンクのアルミ板厚 2mm。CRT ドライバのヒートシンクと結合設計にミスがあります。元の 締結ネジ穴から伝熱用の白色コンパウンドが見えます。

CRT の首に金属のバンドと直接,接しないように耐熱性のテープが巻かれていますが,劣化してボロボロです。一方,電極の 樹脂ソケットには全く,劣化が認められません。真空管の電極に熱が伝わらないとは信じ難い。不思議です。ソケットはホシデン製。


CRTvideo
Fig.7 Video board
CRTsoldering
Fig.8 Shield soldering
CRTflyback
Fig.9 Flyback coil
CRTpower
Fig.10 Power supply

Fig.7 は CRT Driver が搭載されている故障と思われるビデオボードです。Fig.8 にビデオボードのシールドが 半田付けされている様子を示します。CRT に高電圧を印加するためのフライバック コイル と 電子ビーム偏向 調整部を Fig.9 に示します。メイン電源部の様子を Fig.10 に示します。

CRT の外周部は複雑で非常に凝った設計になっています。大容量の半田コテがないと,分解とまた再半田付けに難儀 しそうです。数えるのがいやになるほどの電解コンデンサが PWB-MAIN 322x245xt1.6 基板と PWB-VIDEO 160x145xt1.6 割り基板に 使用されています。見える範囲内の電解コンデンサに液漏れはありません。電源回路にあるフライバックトランス駆動用 FET の サージ吸収用と思われるキャバシタ(写真中央)の外皮が黒焦げになっています。


耐震性 Earthquake-proof

この種のディスプレイはプラントの制御監視用に使われていました。一昔前の軍艦にも使用されていました。例えば,日本の 原発の現場機器は2Gの重力加速度に耐えなければなりません。このディスプレイの構造をみると,到底,耐えられません。福島 原発の運転室のつり天井と照明が地震で崩壊してしまいました。現場機器に過剰なまでに耐震要求を出しておきながら,運転 指令室の天井がむき出しの配管とかが見えると何が困ったのでしょうか。運転室が現場にありながら,その環境を一般事務所のように したのは不思議です。天井がなくむき出しだと配線とそのメンテナンスも楽なのです。また東電の受電設備も耐震設計がプア だった。他の電力会社はどうなのだろうか。他も同様であれば,ダメコンに対する考え方が幼稚なのだろう。日本海軍は戦艦には 消化設備を設置しながら,独自で設計しなければならなかった空母には簡易消火設備を備えただけでした。とりあえず,被弾は しないつもりだった。被弾したら爆風で配管が損傷するから,消火設備は多重系にしなければならない。その手間を省いて しまった。東電はシステム設計が苦手なのだろうか。安全と Safety の溝は大きいなと思う。民族性の違いかもしれない。江戸は 度重なる大火に見舞われながら,耐火構造の町並みを整備する事はなかった。

西欧の街を歩くと電柱がない。ガス管同様地下に埋設されて いるからだ。美観を優先しての事だろうけど,安全対策もあるのだろう。知人によれば,首都を外人を案内すると,空中に 設置されたトランスをみて,驚くそうだ。太平洋戦争中,米軍は日本本土のライフラインへの爆撃を避けた。変電所なんか, 空撮すれば丸見えでも,爆撃対象になっていなかった。空襲の惨禍はドイツに比べると日本は軽微だった。 合衆国は手加減しても,海上封鎖だけでも日本を敗北に追い込めると考えていたのかもしれない。ドイツの産業基盤そのものが 脅威だったのだろう。

ミルスペックの CRT モニタの構造はどうなっていたのだろうか。

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