要約

元来,伝送距離の短い TWE では中継器の給電がネックです。電照設備のあるハウスだとその支障がなくなり,設置工事が簡単になります。中継器 とACアダプタが一体化した機器の開発が望まれます。

経緯目的

中継器を製作し,その動作確認と効果をみます。

Summary

TWE range ability is short originally. Although the task of the repeater is power supply, installation is simple in lighted green house. TWE repeater with AC inlet, it seems to be useful.

Motive

Working a repeater, confirm its function and get an evaluation.


TWE 中継器製作とその効果 Building TWE repeater and the test 2019-02-21

設計 Design

中継器は常時 20mA 以上消費し,長期の電池駆動は電池交換が煩瑣となるため,外部ACアダプタより給電としました。屋外設置とし,ケースは防水,アンテナも 防水正規品を採用しました。

組立について Assembly

配線基板 Wired board

秋月電子オリジナルC基板 AE-C3 上に部品を搭載しました。TWE Red は金メッキICソケット上に挿しています。Photo 1 下方に5Vを 3V3 に降下する レギュレータがあります。隔絶した場所に電源があると想定して,通電状態を確認する LED を取り付けています。TWE のモードを規定するジャンパ,プログラム 書込みボタンSW,さらに書込みヘッダがあります。この基板を Daiso の板厚 6mm の MDF 材の上にスペーサを挟んで固定しました。

配線 Wiring

給電ケーブルは XBee の外付けセンサケーブルに使用していた 3.8m のシールド線を再利用しています。新規ならシールドは不要です。アンテナと TWE 本体を接続するケーブルは秋月から入手した非正規品です。正規よりケーブル長が長く,損失が大きいので問題はないでしょう。

アンテナ開口部 Antenna opening

Monowireless 正規品の屋外アンテナのエルボ部内側屈曲部に開口部が露出しています。雨水が下方に浸透するように見えます。問い合わせると,「構造的に 雨水などが入っても問題ないと思いますが、もし心配であれば防水テープなどを使用していただければと思います」との回答を得ました。

TWErepeater
Photo1 Board assembly
TWEinstall
Photo2 Pipe installation

取付および試験 Install and Test

取付 Installation

子機 #4 は屋外の地上 1.8m の高さにあり,親機は2Fにあります。その間 トタンの庇があるので,中継器をパイプ取付とし地上 2.7m 高さに取り付けました。 パイプは直径 25mm 鋼管です。 中継器本体のバックプレーンは板厚 9mm の Daiso 木材です。耐候性を期待して,アクリル樹脂を重ね塗りしました。アンテナ エルボ開口部に梱包用テープを 巻き付けました。Monowireless の説明によれば,ポールアンテナ直下は感度が大きく減少します。

試験結果 Test

中継機を#4の屋内近くに仮置きして,1Fにある MonoStick から Windows 10 Home にインストールしてある Teraterm により受信して LQI の値の違いを 測定した結果を Figure1 に示します。20台の LQI が 90 以上に改善しました。同様に,2Fにある親機から Windows XP 内蔵ハイパーターミナルを用いて受信した 結果を Figure2 に示します。LQI の改善程度は屋内の場合と同程度ですが,元の直接受信が 40 あるので増加分が少なくなっています。

RepeaterIndoor
Figure 1 #4 Direct vs Indoor repeater received on 1F
RepeaterOutdoorl
Figure 2 #4 Direct vs Outdoor repeater received on 2F

追試 Retry

事由 Cause

評価した結果,Tag_App が DIO 中継不能と判り,中継器を南東角の屋内に移設しました。その様子を Photo3 に示します。アンテナは天井より 6cm 離れて います。

試験結果 Result

前記と同様に,LQI 値を測定した結果を Figure3 に示します。LQI 値が改善されていますが,中継器が連続して発報しない事象が50回目から60回目に 連続して頻発しています。

RepeaterIndoor
Photo 3 Indoor installation at the corner of SE
RepeaterOutdoorl
Figure 3 #4 Direct vs repeater at the cornerr of SE on 1F

評価および課題 Evaluation and Remark

ACadapter
Photo 3 AC adapter

その後,Tag_App が DIO中継器を介すると,エンドデバイスと中継器間の LQI 情報が失われます。主たるエンドデバイスが屋外であれば Coordinator 親機を屋外に設置するのも ありかと思います。Monowireless が主張するような伝達距離を得るのは住宅地では ほぼ不可能です。4m 高さに設置した里山でも実際は 100m が上限のようです。[1] TWE Red と Blue の出力比を勘案すれば,放射理論により伝送距離が2倍に延伸すると期待されますが,建築物等の影響がより大きく減衰するようです。

中継器はスリープさせるわけにも いかず常時 20mA 以上 消費します。外部電源の供給がネックになり,設置場所に制限が生じます。電照設備のあるハウス栽培 であれば,中継器の電源問題はないのではと思います。AC電源対応の中継器があれば便利だと思います。

追試において,中継器が連続して発報しない事象が起きました。環境測定のように何回か伝送して,成功すれば良い応用はOKとしても,確実に 伝送して欲しいイベント発生の伝送は中継器には不向きのようです。実際問題として,イベント伝送は対応していないのですが。

TWE のTag_App と中継器の組み合わせは単純な伝送に応用するのも現状では不向きと判定しました。農用としても TWE 中継器を薦められません。

課題 Remark

ACアダプタに携帯用充電器を利用したが,安全性耐久性が気になります。屋内用です。その諸元は,
  1. 出力 5VDC 500mA
  2. 製造元 Quality Trust Japan Co. LTD
  3. ケーブル長 2.8 m
  4. サイズ 44x48x27 [mm]
  5. 質量 28g

製作した中継器は実測すると,22.2 mA @ 5V (PC510) 消費するから,定格に対する負荷率は4%に過ぎません。しかし長期の連続使用による劣化は不明です。 万が一,過電流による発熱さらに発火となれば,大変です。安全規格は国内の PSE のみです。秋月電子の取り扱っているACアダプタだとUL認証品があります。 ULは難燃性材料でないと,認証が通りません。長期間しかも周囲に可燃物があるような環境ではUL認証のアダプタを使用すべきだったと思います。

参考 Ref.

  1. 直径48.6mm 長さ4mの単管パイプを使っています 伝兵衛農園
  2. マッチ棒アンテナ設置の手引き
  3. 過電圧保護回路もヒューズも入っておらず、なんとも恐ろしい限りです
Installation
Figure 3 Wire antenna installation

© Enoki 2019 February 21 - March 29